謎のシールを時系列順に追う

不思議ミステリー

待ち合わせ、暇つぶし、休憩。

東京の街中で、ふと立ち止まった時に視界に入った電柱、ポスト、自動販売機、掲示板。

気がつくと色んなデザインのステッカーが貼られている。

何となく雑貨屋で買ったものから、自信満々で自作したものまで。

そのどれもが自分が一番だって言わんばかりに、我が物顔で街に鎮座してる。

その中にはインクが薄くなって、何が描いてあったかすらわからなくなってるステッカーがある。

何年も剥がされずに雨に濡れて。

そんな白くなって、汚れたステッカーを何となくジッと見ちゃう瞬間があるんだ。

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2008年前半、東京。

発端は街中に現れたシールでした。このシールは東京都内の電柱や看板、電話ボックスなどの至る所に貼られるようになり、一体、誰がどのような目的で貼っているのかという点についてはわかっていませんでした。

場所は東京の江東区、中央区から始まって、都内のそこかしこの街角に貼られているのが目撃されるようになります。

力士に似た太目の顔が2つつながった構図が印象的な同シールは、色々なバージョンがあり、すべてが同じものではなく少しずつですがデザインが異なっていることも特徴でした。

大きさも一定ではなく、5~20センチくらいの範囲で多数目撃されています。

2008年前半から、その「謎のシール」については、ブログなどを中心にネット上でさまざまな情報や書き込みが飛び交うようになりました。

その後、某ブログにて「力士シール」という言葉が使われたことにより、これ以降、この名称が定着していくこととなります。

そして2008年の夏から上野で開催されていた「フェルメール展」周辺で「力士シール」が多くの人の目に留まったことから話題となり、謎が謎を呼び、当時のメディアでも数多く取り上げられていくようになります。

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その頃からネット上では、二人の人物に注目が集まります。
グラフィティアーティスト「阿満都」氏と、グラフィティライター「QP(Querencia Peligrosa)」氏の作品だという説が有力視されるようになります。
あくまでも、デザインを担当したのでは?という疑惑だけで、実際に街中にシールを貼った人物が誰なのかは謎のままでした。

「阿満都」氏の作品は「力士シール」とデザインが酷似している事、
「QP(Querencia Peligrosa)」氏の作品は特徴的な3つの丸が使われている事と、氏の名前で検索すると画像共有サービスに「力士シール」の画像が出てきた事の2点から疑惑が向けられました。

ネットでは「力士シール」の貼られる理由まで考察されていき、結界を張っているとの憶測なども飛び交っていきますが、結局のところ真実はわかっていません。

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そして個人ブログの記事で新たな情報が発見されます。

銀座北部の「力士シール」“No011” と “No090”の間の
銀東一歩道橋に『アーモンド』の書き込み在り。https://ameblo.jp/ginza-spy/entry-10277744308.html

「阿満都」氏=『アーモンド』なのではとブログには書かれています。

その後、2011年6月3日に発売されたファッションカルチャー誌「Libertin DUNE First Issue」の創刊号にて―――

『白金の秘密基地アートギャラリー「LAST GALLERY」で紹介をつづけたグラフィティアーティストたち(QP、阿満都)の作品も紹介している。』
(/// DUMB //// IS A NO DESCRIPTION INDEPENDENT VISUAL ART BOOK.にも二人の作品が登場しているらしいです)http://tabloid-007.com/tag/%E9%98%BF%E6%BA%80%E9%83%BD

とあり、 「阿満都」氏と「QP」氏が同時に雑誌で紹介されることとなります。

この雑誌の中で「阿満都」特集が12ページに渡って組まれています。その中の1ページは詳細に、阿満都゛という作者の意図、あの図案の細部の記号の意味まで書いているとあります。

そして、これまで「力士シール」と呼ばれてきた正式名称も紹介されています。

その名も「弐面開途心阿多福」(じめんかいとしんおたふく)

この情報が世に出たのが2011年なので、2008年から2011年までの約4年間は「力士シール」は謎のシールのままでした。

今から約15年前のこの話題に、はじめの頃に触れて今ではスッカリ忘れていた人もいるかも知れませんね。

そして「力士シール」はその後、定期的に色々な物語の元ネタとして使われていくことになります。

漫画やアニメなどにも登場していますので、少しでも気になったら調べてみても面白いかもしれませんね。

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